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出会い18

寝取られの源流を掘り起こしたことを契機として、
旦那さんはNさんへの信頼を深めていきました。
それまでよりも深く個人的な心情を打ち明けるようになっていったのです。
それはつまり”寝取られ”への具体的なステップを踏むようになっていった
と言い換えても過言ではありませんでした。

…そこまで語った時でした。
Nさんは静かに立ち上がると、「そろそろお暇させてもらいます」と告げたのです。
明日は予定があるのでそろそろ山梨に戻らなければならない、
ということでした。

私は-私だけではなくYも、突然投げ出されたような気持ちになりました。
最も知りたかったこと。具体的に旦那さんが辿った寝取られへの
道筋を知ることから切り離されてしまったのです。

Nさんは続けました。
この部屋は自宅ではゆっくり過ごせないSさんを労うために
明日まで借りてあるので、時間があるなら3人でゆっくり話してください。
そう言うと、駅まで送るという私の申し出を断り、Nさんはにこやかな
笑顔を残し去っていきました。

名残惜しそうにドアを見送っていたSさんでしたが、
「自分を気にせず3人で話せるよう、気遣ってくださったんです」
と、やや寂しそうに笑いました。「こういう方なんです」と。
そしてゆったりと座り直すと「続きをお話ししましょうか」
と言ってくれたのです。

時間は夜に差しかかっていました。
少し迷いましたが、私達はNさんとSさんの好意に甘え
話の続きを伺うことにしました。

「あの時は驚きました」とSさんが苦笑しました。
Sさんが旦那さんから「これを見て欲しい」と
3㎝ほどもある分厚い紙の束を手渡されたのは、旦那さんがNさんと個人的な
やりとりをするようになってから6ヶ月後のことでした。
何のことやら解らず困惑しているSさんに対し、旦那さんは
「これを見た後で話して欲しい人がいる」
と付け加えたのです。

その紙の束は、旦那さんが掲示板に書き込んできた内容と、
Nさんとのやりとりのメールをプリントアウトしたものだったのです。
そこにはこの”出会い”のエントリーで触れたことが全て
-下着の掲載に至るまで隠すことなく記されていたのです。

「正直呆れました」とSさんは小さく溜息を漏らしました。
そしてまず、掲示板から自分に関する写真を全て消すように
旦那さんにいいました。全ての写真を消したことを確認してから、
じっくりと旦那さんの気持ちを聞いたのです。

旦那さんはあまり自分の気持ちを話すのが得意ではありませんでした。
考え考えながら、彼は話しました。

旦那さんは今まで”出会い”というエントリーで触れてきた
寝取られの源流を隠すことなく話しました。
そしてSさんという素晴らしい女性の伴侶となることが出来たという
自慢をしたいという気持ちもあった、と素直に吐露したのです。

その上で彼はSさんの様子を伺いながら言ったのです。
「僕の経験がほとんどないからかもしれない」
そして初めて真っ直ぐにSさんの目を見、
「でも、キミとのセックスはまるでオナニーを手伝っているようだ」と。

その当時、Sさんはいわゆる”マグロ”でした。
男性に気持ち良くしてもらうのが当たり前で、自分から進んで男性の
ために何かをしたり、一緒に気持ち良くなるために何かをするなど、
考えたこともなかったのです。
それまで付き合ってきた男性達は皆、そのようなSさんのセックスを
受け入れ、不満を漏らすことすらなかったのです。
旦那さんの言うとおり、Sさんにとってのセックスは男性から奉仕を受ける
一方的な行為-オナニーの延長に過ぎなかったのです。

Sさんは反射的に反駁しようとしました。
そこには自分より格下だと思っていた旦那さんに意見されたという
苛立ちがあったことは否定出来ませんでした。

しかし次の言葉でSさんは黙らざるを得なかったのです。
その言葉とは「Sも本当は違う形のセックスを望む気持ちが
あるんじゃないか?」というものでした。

「その言葉は核心を突いていました」
とSさんは静かに言いました。

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