しかし、Yはお姉さんのことに触れられたことで気が削がれた
のでしょう。妄想の続きを促しても、上手く想像が出来ず、再び
興奮状態に入ることはなかったのです。
Yは落ち込んでいる様子で、「ごめんなさい。ここで終わって
良いですか。気が乗らなくて」と謝ってきました。無論私はその場で
相互オナニーを中止しました。
それから数日の間、Yは落ち込みを引きずっている様子でした。
ぼんやりと考え事をしていることが多かったのです。
下手にお姉さんに触れたことが悪かったのか。私は謝りました。
お姉さんのことに触れて悪かったと。
しかしYは首を振り、「そうではないです。」と言ったっきりで、
「今は気持ちが言葉にならないので、少しお時間を下さい」
と力なく答えたのです。
こうなってしまうと、Yが自分の気持ちに整理をつけるまで、
私には待つことしか出来ません。
私はただ、待ちました。
同じ部屋の中で同じ時を過ごしていても、Yとは別の時間を
過ごしているかのような、余所余所しい時が過ぎていきました。
Yがおずおずと話を切り出してきたのは、週末の夜のことでした。
私達は週末の夜、夜更かしをする習慣があります。
その週に撮り貯めたドラマやバラエティ番組のDVDを見ながら、
その週にあったことを話すという、些細でありながらも、大切な夫婦の
時間です。
ちょうどバラエティ番組を見終えた時でした。
Yが、「あの、姉のことですが…」と言いにくそうに切り出してきたのです。
私は、Yが話を切り出すタイミングを伺っていたことに気付いていました。
私は「うん」と頷き、テレビを消して話を促しました。