共有妻Y

私は黙ってYを見詰めました。
彼女の視線の先にいる女性の姿が、私にははっきりと見えて
いたのです。その女性が誰なのか、Yに解らないはずがありません。

Yは再び、「解りません」と力なく呟きました。
その弱々し声には、女性について、それ以上触れてほしくない
という拒絶の気持ちがはっきりと込められていました。

私は迷いました。このまま女性について触れずに済ませるべきか。
それとも今この場ではっきりと女性について触れるべきなのか。

結局私は女性について触れることを選びました。
Nさんがこの相互オナニーを勧めた理由。興味を持った理由は、
その”女性”の存在にこそあるような気がしたのです。

私は率直に、
「その女性はYのお姉さんじゃないかな？」と尋ねました。

Yの眼差し5というエントリーでも触れたYの姉-どこにいても人目を集めず
にいられない華のある人物。Yの家庭でも常に中心人物で、Yは常に出来の
良い姉と比べられ、コンプレックスを抱き続けてきた女性。

Yが語る妄想の中で責められている女性の佇まいや、
容姿。髪型などを聞いてみると、Yの思い浮かべている女性が
彼女の姉であるとしか思えなかったのです。

Yは、「違います」と一度否定しました。
しかし少し後で、「そうかもしれません」と力なく言い直したのです。

私はこのまま”Yの姉”について追求するか迷いました。
…しかしその場ではそれ以上深追いすることはせず、妄想の先を
促しました。今のYには、それ以上の追求を受け入れるだけの準備が
出来てはいないように感じられたのです。