「着けていないと思う」と私は応えました。
Yは小さく頷くと、姉の写真を見つめました。
その眼差しは揺るぎなく真剣で、姉に向かって真っ直ぐに
注がれていました。そのひたむきさすら感じられる表情からは、
感情が読み取れません。私はただ待ちました。Yがどのような
想像を広げようとするのかを。ただ。
やがて、Yは小さな溜息を漏らしました。
そしてこういったのです。「少し待っていてくださいますか?」と。
私は頷きました。
Yは静かに寝室を出て行きました。
何か考えがあるのでしょう。私はただ、Yが戻ってくるのを
待っているのみでした。
…少し後でYが戻って来た時、私は息を飲みました。
白いドアを開けて姿を見せたのは、Yの姉だったのです。
いえ、翌々見てみると、それはYでした。見間違えるほどその時の
Yは姉と似ていたのです。
Yと姉は姉妹といえども、決して似ているとは言えませんでした。
姉は常盤貴子に似た冷たい美貌の持ち主。生来の華を持って生ま
れた女性です。対してYは、ELTの持田香織に似た無機質な人形の
ような雰囲気の持ち主で、密やかな花とでもいうように、対照的な空
気感を持っていたのです。
しかし、この時のYは、まるで姉そのものでした。
銀縁のメガネをかけ(Yはあまり視力が良い方ではありません。
普段はコンタクトレンズをしています)髪を軽く巻き髪にして緩やか
に遊ばせている姿は、一瞬Yではなく、姉と見紛うように良く似てい
たのです。
Yは私を真っ直ぐに見ると、「私を姉と思ってください」と言ったのです。
そして、「今はYではなく、姉の名前で呼んでください」とも。
私は息を飲みました。そして「K」と、Yの姉の名前で呼びました。
Yは、静かに頷きました。
私とYはこうして、姉を犯すことを想像しながら、相互オナニーを
することとなったのです。