私達がまずテーマとして選んだのは、私がYの姉を抱いて
いる場面で相互オナニーをすることでした。
そのテーマを求めたのはYの方でした。
彼女の中にははっきりとした場面設定があるようで、
まずはそれを聞かせられました。それは、私にとっても
非常に興味深いモノだったのです。
Yはゆっくりと、脳裏の中にある場面を語っていきました。
場面が展開される場所は廃屋でした。それも廃村に近いよう
な山奥の中の廃屋だったのです。人が去ってから数十年も放置
された埃臭い廃屋。その中には住人の生活の痕跡が点在しています。
子供の玩具やら、古いラジオ、ブラウン管のテレビ、農機具など。
Yはまるでそれらの光景を見ているかのような描写をするのです。
私は何となく、Yがその廃屋を実際に見たことがあるような気がしました。
それほど描写が克明だったのです。しかし、その場で聞くことはせず、
先を促しました。
Yの姉が廃屋の中にいました。
分厚い埃が堆積した、破れたマットレスの上の姉は、赤い襦袢姿でした。
それも、年季の入った麻縄で胸をえぐり出すように縛られていたのです。
私はYの姉の写真を見ました。
冷徹なまでに冷たい美貌が目に写りました。そのような女性が廃屋の
中で縛られ、まるで無造作に捉えられた獲物ででもあるかのように投げ
出されている場面が頭の中に浮かんできました。
そこでYは私に向かって尋ねたのです。
「姉は下着を着けていると思いますか?」と。
私は想像を働かせました。襦袢の乱れた裾からは、
艶めかしく白い足が覗いています。影となった足の付け
根部分は見えません。しかし、普段Yが和服を身に着ける
ときに下着を着けないことを考えると、Yの姉も下着を着け
ていないに違いありません。