翌朝、Yの方からおずおずと話しかけてきました。
昨夜はほとんど寝ていなかったのでしょう。
酷い顔色でした。「あの…。昨夜のこと、ごめんなさい。
気持ちの整理がつくまで、触れないでくださいますか?」と。
私は気にすることはないと伝えました。
Yが気持ちの整理を着けるまで、一週間を要しました。
その間、必死に平素を装いつつも、どこか心あらずなYと共に過ごす
時間は非常に虚しいものでした。
週末、いつものようにテレビの録画を見ている最中でした。
「ごめんなさい」とYは詫びてきました。「変な女で、
幻滅したでしょう?」と。
そしてYはあの夜の出来事の意味を話してくれたのです。
Yが姉であるKを模した意味。
それは…。姉に対する複雑な感情が潜んでいました。
Yにとっての姉は、誇りでした。
文句の着ける余地のない完璧な女性。
生まれてからすぐそばに憧れの存在があるという幸福感。
そして憧れの存在の妹であるという誇り。
それは同時に、コンプレックスの源でもありました。
常に憧れの姉と言う存在によって、二番手の存在として
抑圧されてきたのです。
そんなYには密かな遊びがありました。
誰にも、仲の良い友達にすら話すことの許されない遊び。
それは、姉になりきることでした。
最初はたわいもない出来事からそれは始まりました。