私は迷いながらも、袋小路に陥っている心の内を素直に
打ち明けました。どこにも行き先が見えず、答えがまったく
出せず、途方に暮れている、と。
Nさんは黙って私の言葉に耳を傾けていました。
少し間を置いた後で、彼は驚くような提案をしてきたのです。
「もし、mitsuさんご夫婦さえ良ければ、
写真を見せた女性-”共有妻”となった女性と
一度会ってみませんか?」と。
唐突な申し出に、私は言葉に詰まりました。
想像外の提案だったのです。それは側にいたYも同様でした。
Nさんは説明するように続けました。
「恐らく、あのよう申し出をしたら、考え込む性格のあなたたち
だから、迷ってしまうことは解っていました。
そういう生真面目な性格のあなたたちだからこそ、私は関係を結びたい
と思ったのです」
そして、「”共有妻”となった女性も似たような性格で、
とても慎重な方だから、きっとあなたたちと気が合うと思います」と。
実際に”共有妻”を経験した女性と接することで、
あなたたちの道しるべになるのではないですか?と。
私は不思議に思いました。
なぜ、ご夫婦と会うのではなく、奥様だけなのか?と。
その問いに対して、Nさんはこう答えたのです。
「旦那さまの方は自分の中の願望が確とし過ぎているので、
あなたたちは影響されて欲しくないのです」と。
予想外の申し出に、その場で即答は出来ませんでした。
少し考えさせて欲しいというと、Nさんは快く受け入れてくれたのです。