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Yが共有妻になった日8

私達3人は、Nさんの部屋に引き上げました。
 
部屋に入るなり、窓際のテーブルに飾られた大きな花籠が目に入りました。
そこには、「NNさん、NYさん。ご結婚おめでとうございます」と、2人の名前と、お祝いの
カードが添えられていました。

Yが嬉しそうに、
「綺麗でしょう。ホテルの方がプレゼントしてくれました」
と説明しました。

…さすがにもう解っていました。
この花籠に限らず、従業員の参列や、スピーチなどはすべて、
Nさんの演出だということが。

はっきり言ってしまえば、この結婚式は茶番です。
端から見れば、良い大人が時間と金をかけ、馬鹿馬鹿しいごっこ遊びをしている
ように見えるに違いありません。仮に似たシチュエーションをふと妄想することはあって
も、実際に実行まで至る人はほぼいないでしょう。こうやって冷静に振り返ってみると、
馬鹿馬鹿しいと私自身感じないでもありません。

しかし、丹念に作り込まれた茶番を当事者として経験させられると、
それは圧倒的なリアリティを感じてしまうのです。

…そう、私もYも、圧倒的なリアリティの空気に飲まれ、
この茶番に酔っていたのです。

Yの調教でも存分に生かされていますが、
Nさんはこうやって女性を酔わせる空気を巧みに作り上げ、
女性自身の意思で調教を受け入れさせる名手なのです。

…そう、NさんはYのもうひとりの夫ととなる
ことをY自身の意思として受け入れさせるため、入念にこの旅行を計画
したに違いありません。そのために多大な手間と、決して少ないとは言えぬ費用を
かけることが出来る。それがNさんという男性なのです。

隣の寝室で身だしなみを整えていたNさんが
戻ってくると、私にこう言いました。

「Mくん、新婚初夜に同席しようとするのは無粋ですよ」と。

Nさんの言葉を聞き、Yの表情が硬くなりました。
Nさんの言葉は、これから夫婦としての情交を行う、という宣言を意味していました。
今までのように「師弟」ではなく、「夫婦」として、避妊具を廃し(この日のためにピルの
服用を始めました)、生身で交わる。NさんとYが男と女として愛し合う。それは、Yが
避け続けてきた女であることを受け入れる意味も含まれています。

ここが分岐点でした。
私とY,どちらも初夜を中止させる権利を持っています。

Yは真っ直ぐに私を見ました。
その視線には、微かな迷いが感じられましたが、その迷いを吹っ切るように、
「大丈夫です」と切なそうな笑みを浮かべたのです。

私はYの気持ちを汲み、
「失礼します」と部屋を後にしました。

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Re: こんばんは

み-さん

その時その時で最善の選択をしてきたつもりです。
しかし未だにこれで正しかったのか。別の道もあったのではないか?
と迷いが頭をよぎることもあります。

気持ちの整理のためにこうやってブログを書いている
部分もあります。

失礼などとんでもない。
様々な気づきを与えていただいて感謝しています。
またおいでください

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