Yは軽く唇を噛みしめて、どう話すべきかと迷っている様子でした。
余程触れにくい内容なのでしょう。私は何も言わず、Yの顔を見ながら
続く言葉を待ちました。
そして、「多分…mitsuさんのおっしゃる通りだと思います」
と、Yは小さく、けれどはっきりと言ったのです。
Yはこの数日間考えていたことを打ち明けてくれました。
想像の中で私に責められ、恍惚とした媚態を浮かべている女性が
自身の姉であるという事実を、Yは一旦否定しようとしました。
夫を姉に寝取られる想像など、自分がするはずがない。
ましてやYにとっての姉は聖女のような穢れのない完璧な存在、
一種の憧れである姉に寝取られる想像など、自分が想像したとは
思いたくなかったのです。
しかし、姉であることを否定するために想像を繰り返すほど、
想像の中の女性は生々しいまでに見覚えのある姉の姿をとって
いくのです。
…一度姉であることを自覚してしまった後では、
いくら理性で否定しようとしても、想像を別の方向へと導こうとしても、
虚しい努力に過ぎなかったのです。
Yは苦悩しました。
よりにもよって、なぜ、姉の姿を想像してしまったのか。
そして、私が姉に寝取られる姿を想像することで、感じたことの
ないような興奮を感じてしまうのか。Y自身も自分の心の働きが
理解出来なかったのです。