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刹那の悟り2

枷に束縛されず、自由に求め、心からYと愛し合う。
そのような素晴らしい状態故に、私の中の寝取られ願望と、狂おしいほどの
サディスト衝動は完全に消滅してしまったようでした。

それはYも同様でした。極普通のセックスに十分充足している様子で、
あの日以来、Yが”牝”の顔を見せることはなかったのです。

このような安定した状態をもたらしてくれたNさんにどれだけ感謝しても
したりないほどでした。しかし、この先の関係をどうするか。正直にお話しする
ならば、今後Nさんとの関係をどうすべきか。持て余していた感もあったのです。

枷が解かれて自由にYと愛し合えるようになった今、
もう、このままで良いじゃないか、と。

今の気持ちはNさんにも打ち明けてありました。
Nさんは少し考えた末に、一旦冷却期間をおくことを提案されました。
そして「時間があるときに一度山梨まで遊びにいらっしゃい」と誘って
くれたのです。

…その時の私は忘れていたのです。
刹那の悟りは文字通り刹那の感覚に過ぎません。
それは微かな衝撃でも脆くも崩れ、淡雪のように失せてしまう
儚い感覚故に貴重だということを。

そして…凪のような状態の水面下では、
予想もしなかったモノが成長しつつあるということを。

私とYがNさんの元を訪れたのは、盛夏のうだるような午後。
アンティーク和服店で買い物を楽しんだ翌週末のことでした。
直接お会いして今後のことを決めようと思っていたのです。

私達が到着したとき、Nさんは作業着姿で自家菜園の手入れをし
ていました。Nさんは集落からやや離れた場所にある辺鄙な古民家で、
自家農園を営みつつ、一人で暮らしているのです。彼は私達の到着に
気づくと、にこやかに手を振って迎えてくれました。

私達は居間の小さな座卓を挟んで向き合いました。
男の一人暮らしながらも、几帳面な性格のNさんの家は理路整然と
片づき、昭和の家電や家具がひっそりと古民家と調和しています。
素朴ながらも温もりのある生活が一目で想像出来る心地良い空間でした。
ここに来るといつも、祖父の家を訪れたようで、心が和みます。

電話でも伝えていましたが、改めて熱海での挙式に対する感謝を伝えました。
私が当事者たること選んだことを-Yと情交したことを伝えると、Nさんは
我がことのように喜んでくれました。

そして、彼はにこやかにこう言ったのです。
「これでようやく我々もスタート地点に立てましたね」と。

コメント

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再開ありがとうございます。

「我々もスタート地点に立てましたね」この「あなた方」ではなく、我々と言う言葉に恐怖と期待がかきたてられます。
その後、Yさんが昼は無邪気な少女なのに、夜はNさんの導きで、娼婦のように変わり二人の男を相手にするようになったのか想像します。

Re: こんばんは

みーさん

ご丁寧にありがとうございます。
今年は気候が不安定なせいか、あっという間に夏が過ぎた
ような感覚があります。残暑を感じるまもなく、風や虫の音からもすでに
秋の気配が感じられます。季節の移り変わりはちょっと寂しいですね。

Nさんは元教育者ということもあり、その言葉や行動も一筋縄では
理解出来ないことが多々あります。体験して、自ら悟らせるというスタンスのせいか、
後々になって「こういう意味だったのか」と、納得させられることが多いのです。

色々と考えながら、感じながらお付き合いくださると幸いです。

またおいでください。

Re: 再開ありがとうございます。

あべさん

「我々」という言葉にNさんのスタンスが良く現れています。
今後はYの中にあるモノが形として現れていきますので、
気長にお付き合いくださると幸いです。

またおいでください。

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