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Yの眼差し

私の中に、人を辱め、踏み躙ることに悦びを感じる
サディストが存在していました。同時に最愛の女性を他の男に
寝取られて感じる寝取られマゾも存在していました。
相反する性向が同居していたのです。

そのことに気付いたとき、悩みました。
サディストの支配者的な(優越的な)イメージと比べて、
寝取られマゾはあまりにもみっともない弱者の性癖です。

私のプライドは、人に見下される性癖は許せませんでした。
(サディスト的な性向に気付いたため、余計にです)

元受付嬢と別れた後、2人の女性とお付き合いをしました。
女性の前で、私は寝取られマゾを封印して、サディストであろう
としました。私がサディストであるというと、SMが一般化した今、
それほど抵抗なく相手の女性に受け入れられました。

緊縛や露出、羞恥プレイなど、私はその手の雑誌やHPを
参考にして、見よう見まねで調教紛いのプレイを行いました。

確かに刺激はありました。私も、相手の女性もアブノーマルな
行為をしているという陶酔感で感じていました。
しかし、友人と元受付嬢を責めた時のような、心の奥底から沸き
上がってくる情動を感じることは二度となかったのです。

徐々に、私はサディストを演じていることに疲れていきました。
アブノーマルプレイで感じている女性の姿を見ながら、情動を共有
出来ない虚しさばかりが募っていきました。
しかし寝取られマゾであることから目を背けるために、プレイの
知識を蓄え、実践していきました。すると女性側はマゾ性が開発され、
さらに刺激的なプレイを求めるようになります。私は必死に知識を蓄
え、さらなる刺激的なプレイを…。

一旦演じてしまった役割を放棄することは、
見下される恐怖と化します。私はサディストを演じ続ける
しかありませんでした。

…果てのない蟻地獄にいるようなものでした。

私は愚かなことにYに対してもサディストであろうとしました。
(結婚前のことです)

Yは私がサディストであると話すと、「あなたが望むなら」と受け
止めてくれました。軽い目隠しプレイから始め、ある日、後ろ手に
Yを縛ろうとしていた時のことです。

Yは鏡台に写る私を見ながら、「どうしてそんなに淋しそうな
目をしているんですか?」と指摘したのです。

私は心の奥底を見透かされたような、
そんな恐怖を覚えました。

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