その夜、Yの発情が醒めることはありませんでした。
敏感すぎるほどの反応を見せ、幾度も絶頂を迎えた彼女は、
最後は気絶するかのように、体力の限界を迎えて私の腕の中に
突っ伏したのです。
そしてYの発情に触発された私自身も同様でした。
腕の中のYの頭を撫でながら、私はぼんやりとしていました。
億劫で体を動かすことが出来なかったのです。
その夜、私は情動に我を忘れたまま3度の射精をしていたのです。
私達はそのまま泥沼に落ちるように眠りにつきました。
翌朝の目覚めは酷く体が重く、気怠いモノでした。
まるで私の中の精気がすべて吸い取られてしまったかのように、
体の芯が抜け落ちたような気怠い感覚でした。
すでに隣に寝ていたはずのYはいませんでした。
耳を澄ませてみれば、キッチンの方から鼻歌が聞こえて来ます。
キッチンに行ってみると、昨夜とは違い、さっぱりした顔つきのYが
朝食の準備をしていました。その様子はまるでマッサージを受けたばかりの
ようで、とても体が軽そうに見えました。
実際Yはこれまでになかったほど上機嫌でした。
昨日の美術展のことを話し出すと、普段の物静かなYとは違い、
好きなモノを語る時独特の熱のこもった調子でどれほど素晴らしく、
楽しかったかを語りました。
その様子を微笑ましく見ながら、私は男女の差、性的な行為による
差を感じていたのです。