少しの間が生まれました。
誰も口を開かず、晴れ渡った庭園を眺めています。
と、そこでNさんから一つの提案をされたのです。
「もしあなたたちさえ良ければ、もっと深い話をしたのですが」と
前置きをしてから、「静かなところで話しませんか」と。
これは”選択”を突きつけられたということでした。
深い話…。
それは当然性について”共有妻”についての話に違いありません。
そのような話をするに、公の場所が不似合いであることは言わずもがな。
場所を変える必要があるのは当然です。
しかし場所を変えてしまえば、”共有妻”としての歩みが一歩、
現実へと踏み出すことを自らの意思で認めることとなります。
Nさんは問うているのです。
進みますか?
それともその場所で踏みとどまりますか?と。
私は、いえ私達は、「…お願いします」と頭を下げました。
この日を迎えるまでの僅かな、それでいて長い時間の間、
幾度もYと納得するまで話し合ってきました。
私達の結論としては、この日はSさんに”共有妻”としての
気持ち。深い部分まで伺う。そう決めてきたのです。
むろん、そこには「私達が受け入れるまで、性的なことはしない」
という、Nさんの言葉への信頼があったのですが。