出会い10
- 2022/11/20
- 14:36
Sさんが結婚したのは写真が撮られた直後でした。
それはよく言えば流れ。悪く言えば流された末の出来事でした。
Sさんはそれまで1年半ほどお付き合いしていた男性がいました。
その男性と自然消滅に近い形で破局したそうです。
-実際はマンネリに陥ったSさんが連絡を放置していたら、相手の方が離れていった
という消極的な形での破局だったのです。
旦那さんが決死のプロボーズをしたのは破局の直後でした。
Sさんと旦那さんは長年の友人関係にありました。
7年前、大学で同じサークルに在籍していた時に知り合い、以来ずっと
友人として付き合ってきたのが旦那さんだったのです。
旦那さんは長年Sさんに惚れてはいたものの、
自分に対する自信のなさか。特にアプローチをかけてくることも
なかったそうです。それ故に唐突なプロポーズに戸惑ったそうです。
「正直に言うと、彼のことを男性として見たことはなかったんです」
と、Sさんは苦笑いしました。
旦那さんはいわゆる人畜無害な良い人タイプ。
異性の友人として当たらず障らずな間柄として付き合うには良くても、
恋人や結婚相手としては何かが足りない。という、友人で終わるタイプの
男性だったのです。
それでも結婚することを選んだのは、
「タイミング、それがすべてでした」とSさんはいいました。
Sさんは適齢期の終わりかけであったことと、長年の付き合いでSさんが家事などが
まるで出来ない-家庭的なタイプでないことを知っていても、
「自分が家事をやるから結婚して欲しい」と旦那さんが言ったこと。
何よりも大きかったのは億劫さでした。
仮にSさんがこれから男性と知り合ったとして、お付き合いを始め、
年単位の時間をかけて関係を育てていくこと。そのことに億劫さを感じたのです。
付け加えるならば、男性としては物足りない旦那さんでしたが、
それなりの地位であることや、次男であることなど、社会的な面では
問題がなかったこともあり、流されるままの妥協で結婚することを選んだのです。