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Yの性欲6

翌日、Yが昨日のことを謝ってきました。
心配性のYは、昨日私がYに触れようとしたとき、拒絶するような態度を
とったことを気に掛けていたのでした。

彼女は訥々と、昨日の出来事について釈明しました。
Yは決して私を拒絶するつもりはなかったのです。しかし、私が近づこうと
したとき、妄想の中のYになりきって感じていたYは、急に夢から現実に引き戻された
感覚に陥りました。

それは普段のセックスの時も同様でした。強い快感が理性を越えそうになった時、
Yは急に現実に引き戻されます。それは、少し離れたところにもう一人のYがいて、
冷静な目で快感で乱れそうなYを見詰めていて、「そんなはしたないことをしては
いけない」と、警告するせいなのです。

昨日もまったく同じ感覚に陥って、反射的に拒絶するような態度を
とってしまった、Yはそう釈明したのです。

私は安堵しました。Yの性格は解っているから、心配する
必要はないことを伝えたうえで、不用意に妄想を破ってしまったことを詫びました。

そして昨日の妄想について-一体感について語り合ったのです。

妄想が醒めるまでのYは、完全に妄想の中のYになりきっていました。
しかし、詳しく話を聞いてみると、Yと私の妄想は多少違っていました。
Yの妄想では、私の目の前で、痴漢に弄ばれていたのです。

しかも、その痴漢は私の友人という設定でした。
友人とYを引き合わせたのは私でした。満員電車は引き合わせの食事会の帰り道
だったのです。突然身を寄せてきた友人が、Yの尻を触り始めました。すぐにYは私に
助けを求めました。しかし私は無言でYが嬲られている姿を見ているだけです。

私が何も言わぬことを良いことに、友人は徐々に大胆さを増してYの尻を触ります。
やがて、友人の手はYのスカートのホックを外します。そこでYは悟ったのです。
私と友人は示し合わせて、Yを性的に嬲るために、このような場を設けたのだと。

妄想の中で私はじっとYを見ていました。その視線は、燃えるような熱を持って、Yの全身に
注がれていたのです。Yは全身が焼けただれるような錯覚を覚えました。Yはそれを悦びと
感じました。普段感情を露わにしない私が、嫉妬と、劣情を隠さずYの姿態を見詰めてい
たのです。

やがて、痴漢がスリットに指を伸ばしました。それは痴漢の指でありながら、私の指でした。
指だけではありません。Yの尻に押しつけられたペニスも、痴漢の物でありながら、私の物でした。
Yは、痴漢を通じて、私に嬲られていたのです。

その感覚を裏返せば、痴漢を通じて私がYを感じていたことでもあるのです。
Yはその感覚を、妄想の中と、現実に目の前で発情している私から感じ取っていました。

妄想だからこそ現実の「枷」を忘れて溺れることのできるあの感覚。
あの感覚の共有こそが、圧倒的な一体感を生んでいたのでした。

私はさらにYについて-彼女の性に触れたくなりました。
「あのような想像を良くするの?」と尋ねました。
Yは少し俯いたままでいましたが、「ちょっと待っていてください」というと、
寝室兼自室へと行き、ベージュのカバーのかかった一冊の本を持って戻って来たのです。

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