私の中にひとつの欲望が湧き上がってきました。
この”女”をもっと”啼かせたい”という狂おしい欲望でした。
私はペニスを使って、Yの胎内を丹念に探りました。やがて、俗に言う
Gスポットを正常位で刺激した時と、コリコリした子宮口の下部分を
バックから突き上げるように刺激したとき、Yの啼き声が特にトーンを上げる
ことに気づいたのです。私は夢中になってそこを責めました。
Yの方も負けてはいませんでした。
対面座位で交わっている最中でした。私はYに押し倒される恰好と
なりました。昂ぶったYは上に跨ると、私と指を絡め、上下に打ち付ける
ように腰を振り始めたのです。私はYのするがままに任せました。
「これ、好きです」とYは私の感じている顔を見ながら、熱心に腰を使いました。
そして執拗に私の乳首に舌を這わせ「男の人が気持ち良くなっている姿、
好きです」「好きな人には何でもしてあげたい」と譫言のように漏らしたのです。
私とYは、時に責め、あるいは責められました。
体位を変えるごとにキスを交わし、夢中になって互いに感じる部分を探り
合う様は、セックスを覚えたての少年少女のようでした。
私は自分を縛る全ての思いを放棄しました。
プライドや、Yに良く思われたいという虚栄心。Nさんへの対抗心や
嫉妬まで。何もかもどうでも良くなっていました。その時私の中にあったのは
たた一つ。ただ目の前の”女”を貪ることだけだったのです。
圧倒的な一体感がありました。
それまでの私のセックスは、Yを感じさせることだけを
考えていました。Yのためを思って、Yが嫌がることや、辛そうなことを
避けてきました。Yに失望されないことが全てで、自分の欲望などは押し
込めていたのです。ある種、一方的な行為が一体感を妨げていたのでしょう。
そう、Yが枷から解放され、全てを見せてくれたことに
触発されたかのように、私も囚われていた”枷”から解放されていたのです。
この頃になると、私の中でYを抱いているという感覚はなくなっていました。
”ただの女”-人並み以上に性欲が強く、場合によっては性欲に流されることも
ある、名も無き女を抱いているように思えたのです。それはつまり、Yに自分の
理想を投影することなく、、等身大の女として見るようになっていたのでしょう。