Yはずっと姉について考えていました。
その結果が姉に”何か”を投影している、という結論だった
のでしょう。そしてまた、それは私が弟に抱いている感情と
同根であるようにも感じられます。投影しているモノが何か、
探らぬ限り前に進めない。それは確かです。
しかし同時に、抵抗の大きさがこれまでなかったほど大きな
モノであるのもまた確かです。近親に、よりにもよって複雑な
思いを抱いている弟がYを抱いている姿を想像する。
ある意味では最も嫌っている相手に最愛の女性を抱かせる
のと同意義なのですから。
私は結局相互オナニーをすることにしました。
Yの性格上、考え抜いた末の結論であることは明白です。
その結論を私に打ち明けたということは、Yが1人で考える段階を
過ぎ、2人の問題として考えるべき場所へと到達したに違いがない
のですから。
週末、私とYはいつものように風呂で身を清め、微醺の状態になって
から裸になり、ベッドルームで向かい合いました。いつもと違うのは、
私の弟と、Yの姉の写真がベッドの脇に置かれていることでした。
写真を置くことを提案をしたのはYでした。その方がよりリアルに状況を
想像出来るから、という理由で。
弟の写真は、大きな岩の上に無造作に腰掛け、こちらに向かって
眩しそうに微笑んでいる写真でした。Yの姉の写真は、仕事中のモノ
でしょうか。グレーのスーツ姿のYの姉が、やや醒めたような目つきで
こちらを見ているモノです。
たかが写真です。しかし、それらの前で裸になるということは、
まるで実物の弟やYの姉の前で裸になっているようで、非常に
恥ずかしく、身の置き場のない不安感を感じさせるモノでした。
それはYも同様であった様子で、微醺の状態にあってもYが緊張
していることがこちらにまで伝わって来ます。