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記事一覧

目9

Nさんは自然溢れる里山の中をゆったりと歩きます。何か目にとまったモノがあると、その都度歩を止め、デジタルカメラで撮影します。それは朽ちて風雨に晒されて苔むした大木や、小さなキノコであったり、芽吹いたばかりの若葉であったり、あるいは穏やかに流れる川のよどみや、そこに潜む魚たち。鳥などの小動物など多様なモノでした。Nさんはまるで自然そのものを愛おしむように目を細め、川を流れてゆく落ち葉を眺めながら、こん...

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目8

私達をご馳走が待っていました。といっても、華美な料理ではありません。Nさんが手ずから育てた家庭菜園の農作物や、採取して保存していた山菜類。近くを流れる川で釣ってきた新鮮な川魚など。それらの食材を炊き込みご飯や味噌田楽。焼き魚、鍋物など、田舎風に素朴な味付けをしたものばかりです。それらの料理はNさんが焼いた無骨な陶器の大皿に山と盛られ、ドンとばかりに炉端に置かれています。その食欲をそそることと言った...

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目7

うっそうとした山間部を抜けると、見上げるような高さの石垣が姿を現しました。そして石垣を分け入るように続いている小さなコンクリートの道が続いています。その道の先にひっそりと佇む古民家、それがNさんの住み処でした。私は石垣の側で車を止め、Nさんに電話を掛けました。これから伺うと連絡をしておこうと思ったのです。幾度か呼び出し音が鳴りました。しかしNさんは電話に出ません。留守にしているのでしょうか。と、古民...

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目6

私とYが山梨のNさんの元を訪れた日。その日は朝から気持ち良く晴れた冬の小春日和とでも言うような気持ちの良い日でした。この日、私達は中型のレンタカーで山梨を訪れました。Nさんの住む古民家は集落から離れたところにあると聞いていました。もし、何かあったときの用心を考えてこのレンタカーでの移動を選んだのです。高速道路を移動中の車中は、ほぼ無言でした。ハンドルを握っている私が長距離の運転に慣れておらず、ずっと...

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目5

私はYが感じた”目”のことをNさんに相談しました。(この頃はメールではなく、ネットを介して音声で会話するようになっていました)Nさんはしばらく考えている様子でした。が、ややあって「なるほど、Yさんはそう感じられたのですね」と、感心したような、どこか嬉しそうな様子を見せました。「私とmitsuさんが似ている。…なるほど」と。その後で、「是非、山梨にいらっしゃい」と再度の誘いをしてきたのです。「あなたたちに見ても...

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