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願望から現実へ12

私は黙ってYを見詰めました。彼女の視線の先にいる女性の姿が、私にははっきりと見えていたのです。その女性が誰なのか、Yに解らないはずがありません。Yは再び、「解りません」と力なく呟きました。その弱々し声には、女性について、それ以上触れてほしくないという拒絶の気持ちがはっきりと込められていました。私は迷いました。このまま女性について触れずに済ませるべきか。それとも今この場ではっきりと女性について触れるべ...

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願望から現実へ11

それでも私は前に進むことを選びました。後ろ向きな気持ちを打ち破り、前に進む原動力となったのは、ひと言で言うなら”疑問”でした。それがどのような疑問かと言えば、Yの妄想を聞いている内に、ふと私の中に浮かんできた一人の人物がいたのです。なぜその人物が想像の中から浮かんできたのか。それが大きな疑問となって私の中に蟠っていたのでした。私は一旦は疑問を心の内に鎮め、Yに妄想を語るように促しました。最初は訥々と...

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願望から現実へ10

しかし、この時はこれまでの相互オナニーとは少し感覚が違いました。どこが違うのか、というのも難しいのですが、お互いから妙な緊張感が感じられたのです。すぐに緊張感の正体は分かりました。緊張感の正体は、”畏れ”でした。その畏れの根にあるのは、初めてYの方から持ち出されたテーマで相互オナニーするということと、もうひとつは、「寝取られ」性癖の根にあるモノを探ることで、互いの性の歪み、言い換えれば”素”の自分に触...

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願望から現実へ9

それでも、いえ、劣等感をかき立てられたからでしょうか。Yは異常な興奮を覚えていました。体の奥底から湧き上がってくるような狂おしい衝動に押されるように幾度も自慰の快感に溺れました。(無論私には解らないように、風呂の中でなど、ですが)しかしYには、その興奮が一体何から来るモノなのか。それが解らずに困惑していたのです。Yはそのことを素直にNさんに伝えました。「なぜこのようなことで感じるのかが解りません。だか...

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願望から現実へ8

Yは慎重で不器用な性格の持ち主です。物事を進める際、ひとつひとつ自分の中で消化出来るまで前に進めません。焦れったくてもそれがYという女性なのです。中でもYが消化に苦しんだのは「寝取られ」を求める私の気持ちでした。Yは彼女なりに最も大きな疑問-「寝取られ」を求める私の気持ちを理解しようと腐心しました。私の話を聞く以外にも、あれこれと様々なことを考えていました。そのうちに逆の形-私がYの前で他の女性を抱いて...

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